どうも、南郷です。
当ブログ「南郷さんの株ログ」は、株初心者のぼくが、投資家として少しずつ成長していく過程を赤裸々につづっていきたいと思い、立ち上げたものです。
心理面の揺れや弱い自分、自信や不安、猜疑心なども包み隠さず書いていきたいと思っています。
そこで今回は、ここ最近感じている疑惑「鳥貴族の成長率は本当に30%なのだろうか?」について論じます。
成長率の算出方法
まず、ぼくが銘柄選定をする際の重要指標となる「毎年の成長率」ですが、以下のような手順で算出しています。
- GMOクリック証券の財務分析ページで「売上高」「営業利益」「純利益」の3指標を見る
- データが存在する期間の毎年の成長率を計算する
やっていること自体はとても簡単ですね。
この画像、あるいは四季報の数字(GMOクリック証券では四季報の数字も見れます)から、毎年の成長率を算出します。
たとえば鳥貴族の前年比成長率は、
2012年⇒2013年 売上高18% 営業利益201% 純利益236%
2013年⇒2014年 売上高13% 営業利益76% 純利益93%
2014年⇒2015年 売上高27% 営業利益62% 純利益42%
2012年〜2015年の平均成長率 売上高23% 営業利益113% 純利益123%
以上のような成長率となっています。
鳥貴族の現在の株価は2,167円。
ぼくの想定株価は2,304円〜3,456円です。
さて、ここであなたに質問です。
これらの数値を見て、あなたなら鳥貴族の毎年の成長率を何%と判断しますか?
これはすごく難しい質問だと思います。少なくともぼくにとっては難問であり、銘柄を購入してから現在でも、「果たして鳥貴族の成長率は本当に30%なのだろうか?もっと高いかもしれないし、もっと低いかもしれない」と自問自答が続いています。
この期間の鳥貴族の売上高だけを見れば、おそらく成長率はよくて20%前後でしょう。しかし、営業利益と純利益の成長率が大きく、これを「成長率20%」と判断してしまうのは、少し早計なのではないでしょうか。
「売上高」と「営業利益・純利益」の成長率にこれだけ大きな乖離があるのには、なにか理由があるはずですよね。
ぼくはその理由を「スケールメリット」と予想しました。
スケールメリットは有名な経済用語ですが、一応簡単に説明すると、「商品をたくさん作れば作るほど、材料の発注費用等コストが下がっていき、利益が大きくなっていくこと」です。
鳥貴族でいうなら、「今までは鶏肉10kg1万円で買い付けてたけど、次回からは100kg買い付けるから、少し安くしてよ。100kg9万円で頼むよ」というまとめ買いによるスケールメリットが容易に想像できますよね。
また、成長ストーリー的に見ると、基本的に鳥貴族はエリア拡大型ですが、同時に認知度向上型の成長ストーリーももっていると思います。
「ゆうゆー投資法における成長ストーリー」
■ 成長ストーリー・その1[エリア拡大型]
■ 成長ストーリー・その2[新商品導入型]
■ 成長ストーリー・その3[認知度向上型]
■ 成長ストーリー・その4[M&A型]
■ 成長ストーリー・その5[値上げ型]
鳥貴族の出店戦略は、関東、東海、関西の3エリアに限定して出店する「ドミナント戦略」です。ドミナント戦略とは、狭い地域に集中して出店することで、材料の運送コストを最適化しながらも、スケールメリットを最大限に活用できる「一極集中型戦略」です。
ぼくは鳥貴族は将来的には「居酒屋界のコンビニエンスストア」「居酒屋界のマクドナルド」になると予想していて、それこそ都市圏の電車各駅前ごとに鳥貴族が3店舗ずつぐらいあっても満員御礼が続くと思っています。
いつでも誰でも気軽に入れる、すぐそこにある、なくては不便と感じるようなお店。不況も暖冬も一切関係なし。いつでも満員御礼。それが鳥貴族です。
現在の会話⇒「どこか飲みに行こうよ」「お店どうする?」「特に決めてないけど、ワタミとか庄屋とか、適当なところでいいでしょ」
近い未来の会話⇒「どこか飲みに行こうよ」「お店どうする?」「鳥貴族に行こうよ。安くてうまいし」
数年後には、鳥貴族がスタンダードになりますよ。
でも成長率30%って高く見積もりすぎじゃない?
ここまで鳥貴族をゴリ推ししていると、「南郷さんの鳥貴族に対する自信はわかった。でも、いくらなんでも成長率30%って高く見積もりすぎじゃない?」という声が聞こえてきそうですね。
そうなんです。そこはぼくも少しだけ疑惑というか、信じきれていない部分はあるんです。
どんな高成長企業でも、いずれその成長速度は鈍化していくものです。これまでたくさんの企業がたどってきた道を、鳥貴族もたどる可能性はあります。
現に、ここ数年の営業利益と純利益の成長率だけを見ると、その数値は右肩下がりになっています。いきなり来年の営業利益が3桁成長になるようなことは、おそらくありえないでしょう。
ですが、40%や50%程度の成長なら、どうでしょうか。これまでの鳥貴族の成長を見ると、なくはないような気もします。売上高だけを見ると成長率30%というのは高すぎるようにも見えますが、先述したようにスケールメリットがどんどん作用してきているので、営業利益の伸び率、つまり営業利益率の継続的改善を期待してもよいと思います。
ちなみに直近3年間の営業利益率は、以下のように右肩上がりになっています。
2013年 1.19%
2014年 3.04%
2015年 4.72%
ぼくはこういった思考プロセスを経て、鳥貴族の成長率を30%としたのです。
もちろん、考えたくはないですが、鳥貴族の成長ストーリーが失敗に終わる可能性、つまり、ワタミや日本マクドナルドやすき家(ゼンショー)がたどったような道(一世風靡後の衰退)を、鳥貴族もたどる可能性はゼロとは言い切れません。
しかし、鳥貴族は280円均一の焼き鳥居酒屋という単一業態を、30年前から変わらずに貫き通してきた実力があります。
ほかの飲食店にはない、「見えない成長戦略」を、鳥貴族はもっていると考えてもよさそうですね。
企業分析では数字以上に大切なものがある
今回、初めて企業分析らしい記事を書いてみましたが、やはり書いてみて思ったのは「業績の数字を見るだけなら誰でもできる。もっと大切なのは、見えない成長ストーリーを描けるかどうか」ということでした。
つまりは、妄想力ですね。
言ってしまえば、GMOクリック証券で経営業績を見て平均成長率を割り出すことなんて、誰にでもできるんです。だからこそ、もっと大切なのは、客観的数値に、主観的な想像力や妄想力で補強した妄想数値を混ぜ合わせ、成長率を割り出す。このプロセスが大切なのだと思います。
やっぱり、株式投資は麻雀と似ているなぁ。
今回の記事は以上です。