どうも、南郷です。
平昌オリンピック、男子フィギュア個人のショートプログラムがさきほど終わりました。金メダルの行方はまだわかりませんが、羽生結弦選手の強さに感動しております。感動冷めやらないままに、今週の株式投資の成績を見ていきましょう。
富士山マガジンサービスの右肩上がり成長に疑問符がついたため全部売却
全部売却 2/15 富士山マガジンサービス(NISA) 1,026円×200株 ※55,800円損切り
というわけで、今週はNISA枠で保有していた富士山マガジンサービスを全部売却しました。おもな売却理由は「成長率を下方修正し目標株価も下方修正したところ、割高感がある水準だったため」です。ただ、この銘柄の売却には考えさせられる部分があったので、もう少し論じようと思います。
危険信号「売上高は上がったが営業利益は下がった」
まずこちらの画像を見てください。これは今週発表された富士山マガジンサービスの本決算の数字です。
これは期初時点ですでに発表されていた会社予想からもわかっていたのですが、増収減益となっています。
それで本決算に合わせたタイミングで今年の会社予想が出てきたのですが、こちらも増収減益でした。つまり富士山マガジンサービスは2期連続で増収減益予想を出してきたということですね。
ぼくは過去にエニグモというアパレルEC銘柄で「巨額広告費による増収減益」を経験しましたが、その際は許容して株価下落にもナンピンで立ち向かいました。ですが、今回の富士山マガジンサービスではナンピンはおこなわず、全部売却で見限った形となりました。
エニグモのときと富士山マガジンサービスのときとで、自分の中で変わった投資方針があります。
それは、
増収増益の継続は、よほどの理由がない限り絶対必要条件である
という視点です。
ぼくの投資法は、保有企業が右肩上がりに成長していくという大前提のもとに成り立っています。具体的にいうと、「増収増益が順風満帆に何年も何年も続いていく」ということです。
ぼくは最近では、エニグモのように、巨額のマーケティング費用を使って売上高は毎年伸ばすけれども営業利益は下がる、というのは「順風満帆」とはいえない成長だと思うようになったのです。本当に優れたビジネスモデルをもっているなら、そのような「ドーピング」をおこなわずして、毎年きれいな右肩上がりの増収増益を続けられるはず。そして、これが続かないようになったということは、ビジネスモデルが機能しなくなったか、市場の潮目が変わったか、成長限界が近づいたか、といったネガティブな理由があるのはほぼ間違いないと思っています。
保有バイアスで判断が甘くなっていないか
ブログやネット掲示板などを見ていると「一時的なマーケティング費用計上のため増収減益となることは仕方がない」というものをよく見かけます。じつはぼく自身も、過去エニグモの巨額広告費の件ではそのような楽観視をしていました。ですが冷静に客観的に見ると、あの頃のぼくの判断には保有バイアスがかかっていたのではないかと考えられます。保有バイアスとは、保有している銘柄のネガティブ要因を楽観視する、あわよくばネガティブ要因をポジティブ要因にねじまげて許容しようとする、というものです。
「成長継続のためには一時的な増収減益は仕方がない、一過性のことだから楽観視できるだろう」このような考え方は、ときには危険な考え方となります。
もしかしたらそこが成長の終わりで、翌年からは業績がヨコヨコになる、あるいは業績が下がり始めるスタート地点となる可能性も十分にあるのです。
もちろんこれが杞憂に終わり、一期だけ増収減益となったあとは再び右肩上がりの増収増益が始まる可能性もあります。実際、このような一時的な増収減益のタイミングで高成長銘柄の株価が下がったところを買う、という成長株投資家もいるようですし。
ですが、やはり理想は順風満帆な右肩上がりの増収増益なのです。
これまで何年も増収増益が続いていたのに、今年は増収減益となった。これは成長ストーリーが転換点にきているという可能性を示唆しているのではないか。ぼくは最近ではそのように考えるようになりました。
もちろん業種や市場環境によっては、そのような増収減益銘柄も心配なく買えると思いますが、やはり増収増益継続銘柄よりもリスクを感じざるをえません。
なんだかんだシンプルが一番
以上、だらだらと書きましたが、結局なにが言いたいかというと、「順風満帆右肩上がりの増収増益が継続している銘柄なら、難しいことを考えずに安心して保有できるよね」ということです。
あれこれ考える必要なくホールドできる銘柄が一番。ぼくが「右肩上がりの増収増益」にこだわるのはそういう背景があるのです。
目指せ、省エネ投資。
それではまた来週。
今回書かれている内容、ガンガン刺さる内容でした。ということは、自分にとって真実だということです。
富士山マガジンは僕も保有しています。増収減益は織り込んでいました(「成長企業に限って」問題ないと考えており、これは今のところ変わりません)が、今回営業キャッシュフローが減少したことがショックでした。営業キャッシュフローが減少するイコール本業で稼げてないということであり、成長鈍化を印象付けられたためです。
また、ゆうゆー投資法からすれば成長ストーリー崩れの三大要因のうち「成長限界」に該当すると判断すれば、売りはまったくもって正当な判断であると思います。
今回の決算を受けてIRに、いわゆる「2本目の矢」「3本目の矢」について成果が出ていない原因と今後の見通しについて照会をかけました。回答は長いので省略しますが、暗中模索の中にいることを認めたうえで、単に購読者数を増やしたり、kindle等と価格競争に持ち込んだりするのではなく、信念を持って戦略遂行していくことを丁寧に説明してもらいました。
以上から保有継続を決めました。ここで売却するのは損失云々別にして納得感が高くないように思いました。不況耐性が高いという認識は変わらず、「2本目の矢」「3本目の矢」の芽が出るのならば、成長路線に戻ることは不可能ではないと判断したためです。ただし期限は1年、期間内でも芽が育たたなければ問答無用で売りという制約をつけます。
自分の投資ルールを順守するというのが今年のテーマだったのですが、2か月足らずで例外を作ってしまい、ダメ投資家の典型と言えます。保有バイアスで判断が甘くなっているという指摘には一番グサッときたので、きっとバイアスかかっているんだろうなあ。多分に実験の側面のもとで見ていこうと思っています。
長文失礼しました。ブログ内容、今回特に勉強になりました。ありがとうございます。
コーさん、当事者目線から、しかもぼくと異なる「保有継続派」の意見として貴重な声をありがとうございます。
保有バイアスがかかってしまうのは、人間ですし誰しも少なからずあるのではないかと思います。富士山マガジンサービスに関しては、増収減益という会社予想が出ていたことは許容し、「まぁ心配しなくても来期からまた増収増益になるだろう」と考えていましたが、2期連続の増収減益予想を出してきたことで、考え直すことにしたというのがぼくの心境変化です。
記事内にも書いたように、本当にビジネスモデルが盤石で成長ストーリーも順風満帆なら、アークランドサービスのような美しい右肩上がりの増収増益が継続するはずなので。それまで増収増益が継続していたのに、ある時点で増収減益に転じたということは、なにかネガティブな要因があることはほぼ間違いないはずです。減収減益なら「あ、成長終わったな」と簡単に見限れますが、増収減益は一見すると右肩上がりが継続しているように見えてしまうので、気をつけないといけない転換点だと思います。
自分の投資ルールを守るのは簡単そうに見えて難しいですよね。ぼくもまだまだ投資方針に確固たる自信がもてておらず、手探りでやっている感じです。お互い楽しんでいきましょう。