どうも、南郷です。ぼくのトレード銘柄である6976太陽誘電ですが、今回の暴落の初動、なぜ空売りできなかったのか?という視点でチャート分析と反省をしました。今回は暴落の初動を取れませんでしたが、次に同じようなチャートが出てきたときにはモノにすべく、記事に残しておきます。
太陽誘電のチャート
まずはチャートを2枚用意しました。1枚目は直近9か月のチャート、2枚目はもっと広く2年半ほどを俯瞰したものです。

現状のぼくのトレードルールでは、最重要視するポイントとして「60日線の向きに順張り」というものがあります。これは、大局的な相場の流れに従ってエントリーするための判断材料です。つまり、
- 60日線が上向きのときにしか買いエントリーしてはいけない。
- 60日線が下向きのときにしか空売りエントリーしてはいけない。
以上のような縛りを設けています。
この縛りは、天井圏や底値圏で頻繁に発生するボックスでの往復ビンタを避けるためのルールであり、不用意なドテンを防ぎ、資金を守るためのルールです。今回の天井圏でも2回損切りしましたが、一定の効果は得られたと思っています。
しかし一方で、この「60日線方向に順張り」という縛りは、今回のような戻しもない急落では空売りできず、初動を取り逃がしてしまうという欠陥もあります。通常、今回のような戻しもない暴落のあとには、大きめの戻しが入るので、そのあとの下げの第二波では空売りエントリーできるとは思いますが、初動で入るのは少し難しいです。なぜなら、いきなり下げるときは60日線がまだ上を向いていて空売りできないからです。60日線は比較的長い時間をかけて折れてくるものですから、短期間のうちに暴落してしまうと、現状のルールでは下げの初動で入ることはできないのです。
これはルール検証時からある程度許容していた「初動の出遅れ」であり、わかっていたことでもありました。なので、「そういうルールだから仕方ない」と一言で割り切ることもできます。しかし、それでは思考停止ですし、せっかくこういう歴史的な暴落に立ち会えている貴重な機会ですから、「60日線ルールの例外として、どうやれば空売りエントリーできただろうか?」と考えてみました。
この思考訓練はけっして無駄ではないと思います。もし今後、同じような微妙なチャートに出会ったとき、今回の教訓を思い出して、60日線が上向きでもチャートの形次第では打診売りぐらいはしてみてもよい、という思考回路ができていれば、今度は初動から空売りできるかもしれません。
今回の反省「柔軟な見方ができていなかった」
では話を太陽誘電のチャートに戻します。再掲しましょう。

今回空売りエントリーできなかったのは、一言でいうと「2019年12月の天井圏のような”上げ続行”のイメージが強すぎたため」です。
ぼくは今回の天井圏を眺めながら「60日線はまだ上向きだし、継続して上げ続けるんだろうな」と少し”上目線寄りのバイアス”をもっていました。ですがチャート1枚目に記したように、60日線は上向きであるものの、下げのシグナルが多く発信されていたことにぼくは気づいていませんでした。
弱さを感じた陽線で損切りできたのはナイス損切りでしたが、一歩分析を進めれば、その翌日に出た陰線で60日線に下ヒゲでタッチしたのを見て、「1か月で2回も60日線に触れにきた!まだ60日線は上向きだけど、これは明らかに弱いから打診売りぐらいはしてみようかな」と柔軟な対応ができていたかもしれません。
このようなチャート分析をすると「できあがったチャートを見て後付けの分析なんてしても意味がない」と言う人が必ずいるのですが、ぼくは多少は意味があると思っています。たしかに同じチャートは二度と出てきませんが、似たようなチャートは繰り返し現れるのです。そのときに「あ、この形はあのときの天井圏の動きに似ているな。打診売りしてみるか」と考えるためには、このようなチャート分析を繰り返す必要があります。何もないところから閃きは生まれません。たくさんチャートに触れ、分析し、自分の売買行動を振り返ること。わずかでも頭のかたすみにチャートを焼きつけておくこと。これを積み上げることでしか、柔軟なトレード思考は得られないと思います。
ルールはすべて明文化できないし、すべきではない
今回の空売り取り逃がしを経験して、以前からぼんやりと思っていたことが確信に変わりました。それは、
「トレードルールをすべて明文化することはできないし、すべきではない」という考えです。
トレードは学問というよりもスポーツに似ているとぼくは感じています。頭で考えるよりも体が先に反応する。そういう感覚が、トレードにはあると思うのです。
トレードは数学でも経済学でもないし、業績予想や業界分析でもない。ただ来た球を打つだけ。このことに気づかないと、おそらくトレードで勝つことは永遠にできないと思います。「このことに気づいてないけど勝ててるよ?」という人は、アベノミクスでたまたま勝ててるラッキーマンか、トレードの天才か、どちらかだと思います。(笑) ちなみに前者のようなラッキーマンは、2020年から3年~6年ほど続くであろう長期低迷相場で淘汰されるので、ご注意くださいね。冗談抜きに、あなたが今持ってる株、ここから5割~8割下がる覚悟をしておいたほうがいいですよ。
話を戻しますが、ルールは明文化できない部分もあって然りだと思うんですよね。たとえば現状ぼくは「空売りができるのは60日線が下を向いているときだけ」としていますが、今回の暴落のように、必ずしもその判断が正しいとは限らない場合もあるんです。でも、だからといって60日線が上向きのときに、むやみに空売りしまくるのは自殺行為になります。ここの「肌感覚の部分」が難しいところで、これは実戦経験を積んで、知識というよりも血肉として体に覚えさせるしかない部分だと思います。
チャートを客観的に見つつも、マネープレッシャーを感じながら当事者意識をもって1本1本のローソク足の形成に意識を集中させる。移動平均線の並びや傾きの変化から、チャートの息づかいを感じ取る。これを毎日愚直に繰り返した者にしか、たどり着けない相場師の境地です。いくら本や動画で勉強しても、得ることはできない「相場を体感した経験」です。
未曽有の暴落相場はまだまだ始まったばかり。これから数年は続くであろう歴史的下げ相場でも、利益を出せる強いトレーダーに、ぼくはなります。
それではまた。
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